
2月28日エル大阪で「労働法の規制緩和攻撃と日本の社会・国家」をテーマに西谷敏さん(大阪大学名誉教授)に講演していただいた。
最初に、
①現在の規制緩和攻勢は、労働者にいかなる影響を及ぼすのか。
②それは労働法をどのように変質させるのか。
③それは、安倍政権の全面的な反動化攻勢のなかで、どのような意味を持つのか。
④それに立ち向かう運動の展望は。
を基礎にしてすすめた。
1.雇用特区(国家戦略特別区域法)による攻勢のはじまり
これを推進しているのが、内閣官房・内閣府・経済産業省で、労働法制の規制緩和に反対してのが厚労省だった。しかし、この圧力に屈して特定地域の規制緩和ではなく全国的な規制緩和に踏み切ることになった。
①労働時間規制の緩和は、全国的な問題として検討する。
(ホワイトカラーイグゼンプション)
②有期雇用に関する5年ルールの緩和→改正案を通常国会に上程する。
③解雇制限の緩和は、凡例を踏まえて「雇用方針」による相談・援助を行う。
さらに、特区を雇用・労働分野の規制緩和の突破口にする狙い。
2.具体的な規制緩和のもくろみ
①労働者派遣法の全面改正(改悪)
派遣大手のP社の会長であり慶応大学教授のT氏が、法改正に大きな影響を与えている。
専門的26業務は期間制限なし、その他は原則1年、最大3年が期限となっている。
製造業は3年間受入れし、その期間を超える場合は本人が直接雇用を申し入れる。
今回は、特定26業務を取っ払い、全ての業種を対象にして、派遣先の期間制限がなし(無期)の場合は何年でもOK。期間制限を設けている場合は、1つの部署で3年間を受入た場合、別の部署へ配置換えをすれば更に3年間受け入れることができる。これを繰り返せば、派遣労働者は永遠に社員になれなくなる。一時的・臨時的という表記がなくなる。
西谷 敏(にしたに さとし、1943 年生まれ)
プロフィール
大阪市立大学名誉教授。[専門領域] 専門は労働法だが、特に労働組合法を研究している。
[近著]
● 人権としてのディーセント・ワーク (働きがいのある人間らしい仕事)2011 年、旬報社刊 購入 Amazon
● 労働法第2版
(日本評論社) 購入 Amazon
主催:関西共同行動(大阪市北区西天満4-6-19
北ビル2 号館
402 号 中北法律事務所
TEL06-6364-0123) |
参考
国家戦略特区特集ページ | 首相官邸ホームページ
参議院本会議で、国家戦略特別区域法案に賛成した人たち一覧
(政党別の表です)
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