労働組合活動で数々の言葉を残す
1月28日、教育部主催の幹部教室を開催し約50名の組合員が結集した。2023年2月3日に亡くなられた宮里邦雄弁護士を偲び、宮里弁護士の生前の言葉を集めた『宮里邦雄かく語りき労働運動・沖縄・平和』という本の内容を執行委員が講義した。
労働運動のために尽力をした弁護士
宮里邦雄弁護士は、全日本建設運輸連帯労働組合の顧問弁護士を務められたほか、多くの労働組合の運動や闘争の先頭に立たれてきました。
そして、2018年に始まった関生支部に対する刑事弾圧について、「戦後、最大・最悪の労働組合弾圧であり、決して見過ごしてはならない」と、「関西生コンを支援する会」の共同代表として、多くの弁護士・労働組合・市民団体へ関生支部への支援を呼び掛けていただきました。
残念ながら昨年2月3日に大脳皮質基底核変性症という進行性の難病により83歳でお亡くなりになりました。日本の労働組合運動に多大な貢献をされた弁護士であり、宮里弁護士が関わった労働事件での語録を今後の労働組合活動に継承していくべく、関生支部では学習会を行いました。学習会で紹介された宮里弁護士の言葉をいくつか紹介したいと思います。
争議権使わないと労働運動錆びつく
◆ | 「争議権は労働組合にとって最も根幹的な権利である。団結権・団体交渉権・争議権を労働三権というが、三権は一体不可分のものであり、争議権なくして、団結権・団体交渉権もない。争議行為は『伝家の法刀』と言われることがあるが、時に抜かなければ法刀は錆びつく」 |
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JAL不当労働行為の東京高裁判決(2015年6月18日)にふれて宮里弁護士が『労働情報』に書いた言葉です。東京地裁判決は「争議権の確立は、労働組合が会社と交渉する際に、会社との対等性を確保するための有効な対抗手段となるものであって、現行の労働法制の下では、労働組合にとって最も根本的な権利の一つである」と判事しました。
宮里弁護士は、この判決を評して「判決の説くところは争議権の本質を把えて明快である。争議権の意義について述べた判決は少なくないが、本判決のように、争議権の本質をつきつめて論じた判決はなかったのではないか」と述べました。多くの労働組合が闘わなくなり、ストライキが極めて珍しいという状況の昨今、重い言葉です。私たち関生支部への弾圧でも、争議行為が少なくなった状況下で、ストライキやビラまき、コンプライアンス活動(安全パトロール)が犯罪扱いされました。あらゆる労働組合が要求を実践し「伝家の法刀」を磨き上げなければなりません。
労働組合の消滅が自死につながった
◆ | 「労働者の権利は孤立したものではなく、仲間によって守る社会的権利。団結がなければ権利は守れない」 |
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宮里弁護士が弁護士登録直後に手掛けた事件についてふれた新聞記事(2021年10月23日付朝日新聞朝刊)に掲載された言葉です。新聞社の労働組合委員長だった記者が営業職への出向を拒否して解雇されました。和解で復職した後に組合が消滅し、当事者が孤立して自死した結末にふれ、宮里弁護士は団結の大切さを「思い知った」といいます。この言葉には、私たちも昨今の弾圧下の闘いで思い知らされることがあります。また、労働運動が停滞し、賃金水準が駄々下がりで生活苦に喘ぐ労働者が多数生み出される今日、生存権と労働運動の関係がひしひしと感じられます。団結が労働者を生かすのです。
哀悼の意味を込め宮里弁護士に黙祷
学習会の最後に、まもなく宮里弁護士の一周忌になることに際して、一同は起立し1分間の黙祷を捧げました。
『宮里邦雄かく語りき』には、このような労働運動の教訓のほか、平和に関する言葉が多数掲載されています。先輩方の闘いを継承するためにも、ぜひご一読下さい。
amazon 宮里邦雄 かく語りき――労働運動・沖縄・平和
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