沖縄県では、6月23日を旧日本軍の組織的な戦闘が終わったとされる日として「慰霊の日」に定められ、沖縄戦最後の激戦地・糸満市摩文仁の平和祈念公園では、「沖縄全戦没者追悼式」が行われた。

式典が行われる平和祈念公園には、屏風状の石碑「平和の礎(いしじ)」があり、早朝から日が暮れるまでの1日中、戦争で亡くなった親族の名前が刻まれた碑の前で手を合わせる方々が訪れる。「平和の礎」には、沖縄での戦闘や沖縄戦に関連する作戦で命を落としたひとりひとりの名前が国籍や軍人・民間人で区別せずに刻銘されている。今年は181名が追加刻銘され、名前が刻まれた人は24万2225名となった。

口先だけの岸田首相

岸田首相は挨拶で、「戦没者を慰霊したうえで、今の日本が平和に暮らせているのは沖縄戦で命を落とされた犠牲と沖縄の方々の耐え難い苦難の歴史の上にある。改めて深く胸に刻み、静かに頭(こうべ)を垂れたいと思う」さらに「今もなお沖縄県民には米軍基地の集中などによる大きな負担を担っていただいている。政府として重く受け止め、負担の軽減に全力を尽くす」と述べた。
その成果のひとつとして西普天間住宅地区が来年に返還される予定であるとし、引き続き、在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小を進め、目に見える成果をひとつ一つ着実に積み上げる。
そして、「日本は、平和国家として、その歩んできた。戦争の惨禍を二度と繰り返さないという強い決意のもと、世界の誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現する。この決意を貫き、後世にまで伝えていくことを、改めて御霊にお誓いいたします」と発言した。
岸田首相の挨拶中に、会場のほぼ中央で「わったーうちなーんちゅは、むるわじとんどー(私たち沖縄の人は、みんな怒っている)」などと叫んだ男性が警備中の警察官に取り囲まれ会場の外に連れ出された。他にも「(岸田首相は)帰れ」「沖縄を戦場にするな」と会場の外からのシュプレヒコールも聞こえた。それは、沖縄県民の心からの叫びであり、沖縄県民共通の思いである。

岸田政権のやりくち

いま、国は沖縄県の民意を無視して、宜野湾市普天間飛行場の代替え地として名護市辺野古への移設計画を進めている。そして大浦湾の軟弱地盤の改良工事着手を、玉城知事に代わって「代執行」で承認し、大浦湾の埋め立てを再開した。埋め立てに使われている砕石は、本部にある採石場から搬出され、採石場は山が削り取られ見る影もない。
さらに、沖縄本島南部の糸満市や八重瀬町土砂の調達先の候補地とした。沖縄県南部は、沖縄戦の激戦地で戦没者の遺骨が数多く眠る場所である。
また、慰霊の日を目前とした18日、沖縄戦遺骨収集ボランティア・ガマフヤー(壕を掘る人の意)代表の具志堅氏や沖縄戦遺族たちが、国に対して、沖縄県南部地域から埋め立て用土砂を採取しないよう求める交渉を行った。そこで具志堅氏は「アメリカのために戦没者の骨までも海に捨てようとすることを断念しないのであれば、岸田総理は慰霊の日に沖縄に来ないでいただきたい」と要望した。
それにもかかわらず「沖縄全戦没者追悼式」に参加し、多くの沖縄戦戦没者の遺骨が眠っている土砂の使用については触れもせずに綺麗事だけを並べた。
岸田首相は、台湾有事を煽り立てて日本を要塞化させ、軍事大国にしようとしている。いま、求められているのは沖縄県民に寄り添うことだ。米国とトモダチになるではなく、敗戦時に結んだ不平等な条約を破棄することであり、米国従属から脱却することである。
時代遅れの軍事基地建設ではなく能登の震災復興にこそ、私たちの税金を使うべきだ。

 


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