人間扱いしない行政に怒りの声

2024年釜ヶ崎越冬闘争

12月28日、例年行われている釜ヶ崎越冬闘争が大阪市西成区の三角公園で開催され、大阪地方裁判所が行った強制執行で行き場を失った多くの労働者が結集した。


路上生活者を相手に立ち退き訴訟を提訴

大阪府が路上生活者らに対し、大阪地裁に立ち退きを求めた訴訟を2020年4月に起こし、1審の大阪地裁(2021年)2審の大阪高裁(2022年)では共に大阪府の主張を認める判決が出された。2024年5月に路上生活者側による最高裁への上告が棄却された。昨年12月1日、この決定に基づき、大阪府は大阪府警等を大量動員し強制執行を強行して労働者たちを追い出したのである。
1970年に開設した『あいりん総合センター』は設立以来、職業安定所をはじめ食堂や病院、団地などが併設され、全国から集まった幾多の労働者を支援してきた。労働者などからは通称『センター』と呼ばれ、あいりん地区を象徴する建物だった。最盛期には、日雇い労働などを探し求めて早朝から長蛇の列ができていたことや、家を持たない路上生活者の寝床としても長年にわたり活躍した建物であった。

あいりん地区の象徴 『センター』の移転へ

大阪府と大阪市は、「センター」の解体の理由を建物の老朽化や耐震性の問題にというが、耐震補強もされていないどころか、その耐震性に問題があるところにあいりん職安を移転させているのも事実であり、矛盾が生じる。
また、このセンターが取り壊されても新たに労働者のセンターが建設される計画でもあれば誰も抗議する者はいない。しかし、現維新政治が進めるこの地域の構想では、全く違う施設になっていることは容易に想像がつく。
2019年4月にはセンターは閉鎖され、建て替えが決定していたが、閉鎖後も建物中央の「寄せ場」と呼ばれるホールやその周辺には路上生活者が引き続き寝泊まりしていた。その後、強制執行されシャッターが閉められた後もセンターの周りには労働者が寝泊まりしていた。そして今回の強制執行で追い打ちを掛け閉め出したのである。
釜ヶ崎あいりんセンター周辺で野宿する人たちの強制排除に反対する声は全国からもたくさん上がる。12月の寒さが厳しくなるこの時期に、労働者の暮らしの場、炊き出しの場を奪う強制執行は非常に危険な行為であり生きるすべを奪う人権侵害である。まさに、来年開催される大阪万博に向けた「都市浄化」の一端としか考えられない、許しがたいことである。
釜ヶ崎センター問題で反対している釜ヶ崎地域合同労組・稲垣委員長は、このように話す。「人間扱いしていない行政、あきらかな差別で労働者排除が目的のセンター潰しに反対する」また「移転先を決定しないで既存のセンターを解体することは不当だ」と言う。ごく正当な言い分である。
今年は、強制執行で追い出された労働者たちが三角公園越冬闘争に集まり開催された。たくさんの支援者が駆けつけているが、あきらかに労働者の数も減り、少し寂しくなったと感じた。だからこそ、労働者の結集点を作るため支援運動との連帯は継続していかなくてはならないと思った今回の越冬闘争である。



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