まず知っておきましょう。
(1)労働者の労働時間は、原則として1日について8時間、1週間について40時間以内。これが「法定廷労働時間」になります。
これを超える場合は、
法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、
◆ 労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
◆ 所轄労働基準監督署長への届出
2点が必要です。
労働基準法第36条で、使用者が労働時間を延長したり、休日に労働させる場合(時間外労働を命令する場合)には、当該事業所の労働者の過半数で組織する労働組合あるいは過半数を代表する者と書面による協定を結び、所轄の労働基準監督署に届け出た場合、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
労働基準法第36条による協定なので通称36協定と呼ばれる。
36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。
続けて労働基準法第37条では、時間外労働をさせた労働者に対して2割5分以上の割増賃金を支払わなければならないなどとしています。
「働き方改革関連法」により月60時間超残業に対する割増賃金率引き上げが始まっています。
残業が一箇月について六十時間を超えた場合、その超えた分については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。(大企業は2019年4月1日から、中小企業は2023年4月1日から)
この法が残業手当の根拠法となっています。
ここを確認しましょう。
(1)三六協定締結の当事者について、労働基準法第36条では、「使用者は、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者とが書面による協定をする」としている。なおここでいう労働者には、パートやアルバイトなども含まれる。
よく見かけられるのが、「労働者の過半数を代表する者」と協定を結ばずに、経営者が勝手に作り提出している事例である。
(2)三六協定において定める労働時間の延長等は、無制限できるものではなく「働き方改革関連法」により上限があります。
時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間を限度に設定。
ただし、自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間(2024年4月1日)を設けた上で規制を適用。研究開発業務は、適用除外。したがつて研究開発業務は、時間外労働の上限規制なし。自動車運転業務、建設事業、医師等も2024年4月1日まで上限規制なし。したがって現在、自動車運転業務、建設事業、医師、研究開発業務は働かせ放題。
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