まず知っておきましょう。
労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。
詳しくは「こちら」 労働者災害補償保険法(条文)
業務災害とは、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。
この業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険が適用される事業場(法人・個人を問わず一般に労働者が使用される事業は、適用事業となります。)に雇われて働いていることが原因となって発生した災害に対して行われるものですから、労働者が労働関係のもとにあった場合に起きた災害でなければなりません。
ポイント①
「労災保険が適用される事業場である」
ポイント②
「労働基準法上の労働者」
したがって、国の直営事業、官公署の事業(一部)
船員保険の被保険者については、この法律は適用になりません。
任意適用事業
使用労働者数5人未満の農林水産事業の一部が任意適用事業です。
任意適用事業以外は、全て適用事業場です。
同居の親族のみを使用する事業や家事使用人などは対象となりません。
ポイント②
「労働基準法上の労働者」
一般論として、自営者(特別加入制度あり)や法人の代表者・役員は労働者になりません。
ただし、事業主との使用従属関係があり、労働の対価として賃金が支払われている場合、その部分において労働者になると考えられます。(
例 親会社の社員が、子会社の役員)
労災保険は、強制適用ですのて、使用者が脱法行為で労災保険に加入せずに、業務災害が起きた場合、脱法行為を是正(労災保険加入)したのち労災保険を利用することが可能です。
● お尋ねの件
本人の不注意(ハンドル操作の誤り)により、営業活動中事故を起こしたため、労災の請求を認めたがらないとのことですが、会社が被災者の労災保険を請求する権利を制限することはできません。
理由は、労災保険給付の請求は、通常、被災者本人の意思によってするものであり、その請求に基づいて労働基準監督署長が支給・不支給の決定をするものだからです。
では、申請手続きなどを被災者本人にすべて行なわせればよいかというと、必ずしもそういうわけでもなく、労災保険法施行規則第23条第1項で、『保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続きを行うことが困難である場合には、事業主は、その手続きを行うことができるように助力しなければならない』とされています。
ところで、「労災になるでしょうか?」ですが、業務としての営業活動を行なっている際に、運転していた車両の事故により負傷されたわけですから、業務遂行性及び業務起因性が認められるといえるので、業務上の災害として認められるものではないかと考えられます。
ただし、労災保険法第12条の2の2においては、災害発生の原因が被災した労働者の故意の犯罪または重大な過失による場合には保険給付の一部が支払われないこととなっています。事故の原因がハンドル操作の誤りとだけで、詳しい状況が不明ですが、「重大な過失」に相当するような場合は、保険給付の一部が支払われない可能性があるといえるでしょう。 |