説明
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まず知っておきましょう。
労災補償を受けれるのは、労働者です。
したがって取締役という肩書であっても、「労働者」であれば労災補償はうけれます。
1 法的な枠組み。 --「労災補償は労働者がうけれる」--
補償がうけれる者について、労基法で「業務上の事由に基づく労働者の負傷,疾病,障害または死亡に対して,使用者は補償する」ことを義務付けています(労基法第75~82条)。
したがって業務に起因するケガなどが、誰にで補償もされる訳けではありません。労基法上の「労働者」に対して補償されます。
なおこの「労働者」ですが、働いていれば誰でも「労働者」になる訳ではなく、労基法第9条に該当する者がここで言う「労働者」です。
「この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」とされています。
上記から分かるように、労災補償を受けるためには、
① 労災補償は、労働者に対して行う。(労基法第75~82条)
② 労働者に該当。(労基法第9条)
の2点に該当していることが必要です。
労基法の労働者であるかどうかは,実態に即して総合判断することとなります。
したがって「労働者」であるかは、肩書や名称でなく実態として判断されます。
労働者にならないものとして、法人,団体,組合の代表者又は執行機関(取締役)などは、一般的に、労働者になりません。代表者又は執行機関(取締役)などは、賃金でなく役員報酬としてであり、使用される者ではなく、使用する者になります。したがって労基法第9条にいう労働者にはなりません、又労災補償も受けれません。
お尋ねの件ですが
取締役製造部長とのことですが、「労働者」に該当するか具体的な職務権限などが不明ですので、一般論になりますが、
「法人の重役等で業務執行権又は代表権を持たない者が,工場長,部長の職にあって賃金を受ける場合は,その限りにおいて法第9条に規定する労働者である」と行政解釈されています。
取締役であっても、業務執行権又は代表権が無く、使用者との間に従属の関係があり、労働の対価として賃金を得ていれば労働者になります。
■詳しくは
① 業務に従事するに際して、時間や場所の拘束の有無,
② 業務過程における具体的な指揮・命令・監督の有無,
③ 労働の対価性の有無
など実態から労働者性を判断してください。
また、労働者性を補強するものとして、
社長がすべての権限をもっている。すなわち取締役に職務権限はない。
取締役会が開催されていない、取締役として名義をかしただけなど。
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