『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読み解こう! シリーズ ①
異常な日本、異常な政府の矛盾と過ち

矛盾だらけの異常な国、日本。「国民を犠牲にして、常にアメリカの言いなりでいる政治家や官僚たちは、実際はアメリカの交渉担当者から心の底から軽蔑されている」との証言がいくつもあります。一体どんな大きな力がうごめいているのでしょう。

私たちは、ずっと「反戦・護憲平和主義者」という立場に立っていると思っていました。国民自体は心の底からそう思っているかもしれません。しかし、実際は、憲法九条二項の「戦力放棄」と、「沖縄の軍事基地化」は最初からセットで生まれたものです。憲法九条を書いたマッカーサは、沖縄を敵の攻撃に対抗できる最適な場所と考え、「沖縄の嘉手納基地に強力な空軍を置き、核兵器を配備しておけば日本本土に軍事力は不要だ」と考えました。敗戦国日本は沖縄を差し出し、そのせいで沖縄は軍事要塞化・核武装化されているのです。
米軍は、71年前、沖縄本島の海岸に多くの軍艦でやってきて艦砲射撃ですべてを吹き飛ばし、占拠して今日までそこにいます。「占領軍」の名を「在日米軍」に変え、本土は1952年の講和条約で、沖縄は1972年に本土復帰によって形式上は主権を回復しました。しかし、「他国が攻めてくる」との理由で沖縄の軍事的占領状態を維持しているのです。

憲法の権限捨て去りアメリカに追従
なぜ法治国家の日本で国民の基本的人権は堂々と踏みにじられ、米軍が事故現場から日本の警察や市長を排除でき、アメリカ人の家の上は危ないから米軍機が飛ばないのに、日本人の家の上はどれだけ低空飛行をしてもいいのか…。その答えはこうです。
憲法は、権力者の横暴から市民の人権を守るために生まれました。暮らしや健康に重大な障害があれば、憲法によって飛行をやめさせられるのが法治国家の本来の姿です。ところが1959年に「日米安保条約のような高度な政治的問題については、最高裁は憲法判断をしないでよい」という信じがたい判決を田中耕太郎最高裁長官が出しました。これが「砂川裁判」です。その後、米軍基地をめぐる騒音訴訟などでは、すべてこの判決を応用する形で、被害自体は認定するのに「米軍の飛行差し止めはしない」という異様な判決が出されています。
「砂川裁判」は、検察や日本政府の方針・最高裁の判決含め、基地を未来永劫日本に置きたいアメリカ政府の指示と誘導で進行したという事実が2008年アメリカの公文書で初めて明らかになりました。
「砂川裁判」が、アメリカとの条約が日本国憲法よりも上位に位置する判例を残し、官僚は裁判で負ける側には立たないため、日本の環境保護や国民を健康被害から守る仕組みが機能しなくなったのです。そして、憲法の権限を捨て去り、重要な問題について憲法判断をしない現在の最高裁こそが、憲法違反を犯しているのです。
異常な日本を変えるのは大衆の力!
日本では、アメリカが押し付けた基地や原発の被害者が抵抗した途端、アメリカだけでなく利権に関係する日本の官僚たちからも権力で痛めつけられ、マスコミも一緒に弱者の訴えや事実を握りつぶすという構図になっています。
「安保条約」にもまして矛盾を生み出す諸悪の根源が、在日米軍の法的な特権について書かれた「日米地位協定」です。その協定に基づき日本の官僚と米軍は60年以上にわたり毎月2回会議をしています。それが「日米合同委員会」です。メンバーは日本の様々な省庁から選ばれたエリート官僚たちと在日米軍のトップたちです。そこで国民には公表しない密約を含めあらゆる取り決めがされています。メンバーはすべて目覚ましい出世を遂げており、「安保法体系」を協議する人間が常に日本の権力機構のトップにすわるという構造が代々受け継がれています。
今後も彼らは、国民でも憲法でもなく「安保法体系」に忠誠を誓い続けるでしょう。「特権階級の利権への執着」それが「異常な日本」になった原因です。それをくつがえす唯一の方法は何か。沖縄闘争や原発闘争、農業漁業闘争、悪法に苦しめられてきた労働者や農漁民など、すべての人が共闘してこの矛盾に異議を唱え、変える以外にありません。
五つのなぜ?
1 | 米軍の飛行機はアメリカ人の住宅の上は墜落すると危ないので絶対低空飛行をしないが、日本人の住宅の上は平気で低空飛行する。同じ沖縄で日本人だけ危険にさらされているのを政府が許しているのはなぜ? |
2 | 日本の政府が、本来保護すべき国民の人権をこれほど守らず、反対に踏みにじるのはなぜ? |
3 | 少女が暴行され、日常的に命や生活を脅かされ、その苦しみを訴える人々。選挙で示された民意さえ無視し、政府が税金で異常な数の機動隊を送り込み、国民や報道陣まで制圧するのはなぜ? |
4 | 米軍ヘリが墜落した時、加害者のくせに米兵が現場を封鎖し警察や市長やマスコミを排除。一瞬にして日本を治外法権にできるのはなぜ? |
5 | 嘉手納空軍基地の隣の弾薬庫に多い時期には1300発の核兵器が貯蔵され、それが本土の米軍基地に運ばれ、そこからソ連や中国を迫撃できるようになっていた。それなのに、憲法9条2項に「戦力放棄」とうたい、「反戦平和・護憲平和主義」を掲げていたのはなぜ? |
シリーズ ②へと続く

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